010 や、役者やのお

近所の動物好きのおばさんはスナックのママさんでもある。

もともとうちのねこは、その店の前でうろうろしているところをママさんに保護されたのだ。
で、たまたまその日に飲みに行った私が、こいつを気に入って連れて帰ったというわけ。
なので、一月に一度くらいはママさんにこいつの顔を見せに行く。

歩いて5分程度なのだが、こいつを連れての移動が結構大変だ。
ナップザックに放り込んで、首から上だけを出す。
結び目をうまく作って首がしまらないようにし、背中ではなくおなかの側で抱く。
顔だけがちょっこーんと出ている姿は、鏡で見るとなかなかかわゆい。
しかし、結構重たい。  手である程度支えていないと、細い紐が肩に食い込んで痛いし...

普段と違う光景が珍しいのだろう、きょろきょろとあたりを見回し、くんくんと鼻をうごめかしている。 たまに車がそばを通ったりすると、びっくりして飛び出そうとすることもあるが、それ以外は、まあご機嫌ちゃんだ。

で、店に到着。   すぐさまナップザックから出してやるのだが、そのとたん...
げほげほげほっ  と咳き込みはじめるのだ。

「あんた、紐で首がしまっとたんちゃうん?」
「しまってへん、しまってへん。  手で抱えて来たし、第一、しまらんように結び目作っとるがな。」
「ふーん。でも咳き込んでるで...」
「知らんがな... さっきまでへーきな顔しとったんだってば。  咳は、ここに着いてからや。」
「来る途中はなんともなかったん?」
「そうや。  こいつ...俺を陥れようとしとる。  おいこら、このバカ !  芝居すんな !」

と、まあ毎回こんな会話になるのだ。
一体こいつは、何がしたいのだ!


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