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〜千早ふる荒ぶるものを拂はんと 出で立ちませる神ぞ貴き〜 手作業な石見神楽サイト でででん堂
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*****    THE 達人    *****
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◎随分昔のお話...
舞を教えて頂いた二人のお師匠さん(長浜社中の花立さん、山口さん)は、対外的にも有名な方たちでした。

今もなお、版を重ねて受け継がれる校定石見神楽台本(篠原實氏編、昭和29年初版)の冒頭に、衣装や神楽演目を紹介する写真があります。
白黒でかなりの年代ものですが、その中の鐘馗の写真を指差して、 「これ、わしらじゃ」(鐘馗が花立さん、鬼が山口さん)と、打ち明けてもらったことがあります。
「おー、すごいな。 お師匠さんたちは!!」と誇らしい気持ちになったのは言うまでもありません。



山口さんには笛も教わりました。
ご自宅には何十本もの完成品及び製作中の笛が無造作に置いてありました。

「吹いていると熱気で竹の色が赤みを帯びてくる。 ほっとくと元に戻るけど、使い続けているうちに、 だんだんその色に定着し、いい音が出るようになる。」と仰っていました。
実際に、作ったばかりの笛と、十年・二十年物とでは色も音も全く違います。  年季の入った笛は、空気音が目立たず、「ころころころっ」という感じの澄んだ高音が出るのです。

このとき頂いた新作の笛は、大事に持っています。 赤っぽくいい感じになってきました。
都会では力一杯吹けないので、吹き出し口にテープをまいて、こそーと練習しています。

◎そうそう、達人といえば、神楽面製作の岩本竹山先生(先代)にもお会いしたことがあります。
「面を見せてあげるからおいで。」みたいな感じで、先生の御自宅 兼 工房に招待して頂きました。

痩身白髯、まさに匠という呼称がぴったり! 足の踏み場もないくらい、そこかしこに 面やら塗料の皿やらが置いてありました。
(どうやら達人というのは、ご自身の作品をそこらに無造作に置かれる方が多いようです。)

粘土型に和紙を貼り固める、という神楽面の作り方を簡単に教えて頂きました。  粘土型を壊して面を取り出す、ということをお聞きしたとき、「えっ、もったいない。」と言うと、 「壊さず、剥がせるようにしようと思えば、どうしても彫りを浅くせざるを得ない。
彫りの深い、すごい面が作れないんだよ。」  と応えて頂いたのを憶えています。


◎さて、、、それから数十年後。
たしか後野社中さんだったと思います。(しっかり確認をしておくんだった...)
2000年か2001年の正月だったか盆だったか、周布のジャスコ(現トライアル)脇の神楽館でのこと。
「こ、この人はすごい!」という方を見つけました。

笛の奏者です。 女性の方です。

澄み切った高音、息継ぎを感じさせない切れ目のなさ...
などなど、一流の技術、芸術性に加え、 二つ、三つの演目を立て続けに、ずーーーと吹き続けておられる体力にもびっくり ! しかも背筋をピンと伸ばした正座の状態で、ですよ。
(普通、男性なら、右の人形写真のように、あぐらを組んで奏します。)

囃子の中で、最も神経を使うのが大太鼓、最も体力を使うのが横笛、というのが私の認識でして、 一つの演目が終わると、「はあ〜 やれやれ」という感じで、奥に引っ込んで交代するのが普通だと思っていましたから、 この、きりっとした姿勢で延々と吹いておられる姿は、とても美しかったですね。
花(=祝儀)を打たずにはいられませんでした。

姿勢の良さなどから受ける印象で、この方はもともとフルートなど洋楽器を扱ってらっしゃったのではないか、と勝手な想像をしていたのですが、 対応に出ていらした方にお聞きしたところ、特にそのような経験はなく、ずーと神楽笛一本でやってこられたということです。

そういえばこの日、、、笛に意識を集中させていたので、舞の記憶がほとんどないですね。


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